受けルガチアンチ

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【ポケモンSVシングル】コイルハカドッグ

 

 どうも。

 今回はカードゲームさながらの高速墓地肥やしコンボで遊びます。

★本日のおしながき

シリーズ初の墓地利用効果

 今作SVはこれまでにない効果を持つ技や特性が一挙に追加され、ポケモンバトルがひとつ先の時代へと突入した感じがある。例えば、死者蘇生効果を持つ「さいきのいのり」ダブルバトルにおいて特定のポケモンと融合する「しれいとう」など、新機軸の戦略でバトルを楽しめる。

 今回注目するおはかまいりという技も今までにない効果を持つ技のひとつで、基礎威力は50とかなり控えめながら、ひんし状態になったポケモン1体につき威力が50上昇し、特別な事象を考慮しなければ筆者が主戦とするシングルでは威力150まで上昇する。要するに、ブラックマジシャンガールが持つ墓地のブラマジとマジシャンオブブラックカオスの数*300攻撃力が上がるようなイメージである。

 ここまではっきりとした墓地利用効果はこれまでなかったので、早速墓地肥やしコンボと一緒にハカドッグで遊んでみよう。

 

戦術紹介

 今回の戦術はハカドッグおはかまいりのどちらかだけを強化しても意味がなく、両方の性能を最大限まで引き出しつつ墓地を肥やし、エースを着地させる必要がある。

 墓地肥やしというのは任意のカードを手札や山札から墓地へ落とし、墓地で効果が発動するカードでゲームを有利に進めるプレイングに繋げることを指すが、今回は何をどのようにして墓地に落とす(=ひんし状態にする)かを説明する。

 この戦術で必要なのは(1)襷やマルチスケイルをケアする(2)エースとなるハカドッグのスピードを補う(3)2体瀕死にしておはかまいりの火力を最大にするといった要素である。この条件を満たしつつ、無理のない形でハカドッグへ繋ぎたい。

 (1)についてはアタッカーとしての性能も申し分ないガブリアスに先発でステルスロックを撒いてもらいつつ、可能な限り削るもしくは倒してもらってから瀕死になる。

 (2)についてはハカドッグの特性すなかきを発動するが、カバルドンバンギラスといった耐久力があるポケモンだと下手に居座るリスクが生じる。特性がんじょうコイルすなあらしを使ってもらい、くっつきバリによる自傷で最速で退場する弊ブログのお家芸*1を発動する。

 (3)ガブリアスとコイルが各々の役割を果たしてくれたら自ずと満たすので、場を整えつつ墓地を肥やしてハカドッグへ繋ぎたい。

※*1:【ポケモン剣盾シングル】やわらかメレシー(+痴呆ラグ) - 受けルガチアンチ

 

 (2)のポケモンコイルである理由について少し。技すなあらしと特性がんじょうを両立できるポケモンは11体いるが、この枠は1ターンで速やかに退場するのが望ましいので種族値の低い進化前ポケモンを使っていることはお分かりだろう。

 この条件だとウソハチコジオコイルクヌギダマが当てはまり、この4体の無振り耐久指数を比較するとウソハチが14,375-8,125コジオが12,350-7,150コイルが9,000-7,500クヌギダマが13,750-6,875となり、群を抜いて低いHPのお陰でコイルの耐久指数が非常に低いことが分かる(いずれも個体値は31で計算)。

 クヌギダマは頑丈を選ぶと砂嵐のダメージを無効化できないのでくっつきバリを持たせる必要はないが、コイルの場合はCが95もあり、進化前の攻撃性能としてはかなり高いものを持っているので万が一のケースを想定して腐りにくいコイルを選択した。

 ハカドッグ@こだわりハチマキ

 今回はパワーを追求したいのでAは特化、Sはすなかき(砂下S*2)前提なので準速。基本的にはコンセプト通りおはかまいりしか使わないが、万一に備えて鉢巻を押し付けられるトリックなども採用した。テラスタイプもパワーを求めるので同タイプのゴースト

 ゴーストテラスタル鉢巻おはかまいり(150)は火力指数で75,600(168*1.5*150*2.0)を計上する。特化カイオーガの雨下しおふき(150)が74,925なので、いかに理不尽な火力を押し付けられるか伝わるだろう。

 

実戦レポート

 解説する試合のパーティと選出。

 ノーマルタイプがいないのでハカドッグにゴーサイン。サーフゴーやミミッキュがゴースト対策でノーマルテラスを使用する可能性はあるが、それを言いだすとキリがないのが今作。ドドゲザンが重いがガブリアスやパーモット、一応けたぐりが使えるマスカーニャなどで表面上は縛れているか。

 初手はガブリアスサーフゴー

 サーフゴーがスカーフだったのでガブリアスステルスロックを撒く役割のみを果たして墓地へ送られる。

 死に出しコイルすなあらしを使用。お相手氏はコイルを特に怪しむことなく攻撃、がんじょうで耐えてくっつきバリ自傷最短(砂ターン4残し)でハカドッグ

 ここから捲る。耐久力はさほど低くはないが、すなかき前提のSなので砂が有効な間にすべて倒す必要がある。

 まず順当にサーフゴーを破壊。スカーフ最速サーフゴー(149*1.5=223)より砂下ハカドッグ(120*2.0=240)の方がギリギリ速いので、スカーフ持ちがこのポケモンで助かった。

 続いてミミッキュも撃破。こればかりはステロで対処できないので辛かった。

 +2かげうちを被弾するも無振りでBが120ある耐久力に助けられた。特化+2でも78.9~95.2%ダメージだが、珠やテラスタルがあったら負けていた

 ラストはガブリアスステルスロックで襷は剥がれた、スカーフはサーフゴーが持っていたのでノーマルや悪テラスタルでもされない限り勝ち。かなり可能性は低いが、まもるこらえるでターンを稼がれて砂が終わってしまう、せんせいのツメで捲られるといった負け筋もあるにはある。

 無振りガブリアス(183-115)の場合は鉢巻おはかまいり(150)で186~219ダメージになるが、191ガブだの201ガブ、205ガブといったバリュエーション豊かなポケモンなのでここでテラスタルを使用。後発ということは流行のHBではないと思いたいが……

 対戦ありがとうございました。

 この試合はミミッキュ+ソウブレイズかげうちを複数被弾する、ドドゲザンが選出されているなど負けパターンも複数想定されたので、選出がややこちらに有利だった点は否めない。

 それでもこれをサンプルとして使用した理由はやはり、くっつきバリコイルの存在が大きい。コイルが最速で退場してくれたおかげで砂ターンを4残せたので、ミミッキュで2ターン消費しても最後のガブリアス対面でも砂が残った(尤も、ガブがすながくれだったら負け筋にもなる)。

 解説する試合のパーティと選出。

 1戦目同様基本タイプにゴースト無効がいない、ブラッキーの主な役割対象である特殊アタッカーがこちらにいないのでハカドッグ選出で。

 やることは一緒なので序盤は省略。ステロ+砂を撒いてガブリアスとコイルは墓地に。色違いパーモットかわいい。

 パーモットは順当に撃破。ブラッキーがいればここで引く選択肢も考えられるが、来ないということは……?

 ニンフィアは耐久振りも多く、所詮は等倍なので油断せずテラスタルを使用して撃破。

 HBニンフィア(202-128)だと確定で耐えられるが、ゴーストテラスタルを使用すると221~261ダメージで確定になる。

 ラスト一体はガブリアス。ここまでスカーフ持ちが出ていないので、スカーフガブリアスだった場合は攻撃を耐えられなかったら負けだが……

 対戦ありがとうございました。

 

戦術の変遷や問題点

 2体潰して1体で捲る系の戦術ではいつも書いている通り、1体に掛かる負担が大きすぎるため安定しない。

 例えば、だいばくはつを用いて墓地を肥やす方法もある。だいばくはつ相手のBを半減してダメージ計算をする4世代までの仕様であれば採用も考えたが、いくら威力250技といえど昔ほどの1対1交換における信頼がないので見送った。ノーマルテラスキョジオーンだいばくはつ→スカーフマリルリ(ちからもち)のまねっこ、のようなルートを初めは考えていた。

 他には【ポケモン剣盾シングル】反射技+みちづれだけで試合に勝つことは可能か? - 受けルガチアンチの記事にも書いた、カウンターミラーコートなどの反射技とみちづれを用いて数を減らす方法もあるが、アンコールカイリューやさほど火力のない耐久ポケモンなど、初手から殴るよりもいなすポケモンが環境に多いと感じたので、後手に回る可能性を考慮してこちらも不採用にした。

 また、攻撃タイプとしてのゴーストは半減こそ少ないものの、無効タイプがあるので鉢巻ゆえに不意のノーマルテラスタルで詰むこともあるカイリューはノーマルテラスを積極的に採用できるポケモンなので、この試合は不注意だった。

 実戦レポートでいくつかダメージ計算を載せたが、ご覧の通りフルカスタムでもカツカツなので、操縦性重視で鉢巻を外してしまうと捲れない火力が絶妙。

 

おわりに

 補完枠を設けないパーティ3体フルに使う戦術は久しぶりでしたが、ハカドッグが優秀なのでなんとか形になりました。わざわざ墓地を肥やさなくても対面構築的な動きで11交換を繰り返して、自然な流れで出した方が強いと思います。

 

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 アーカイブはこちら→【ポケモンSV】ポケモン名別戦術記事まとめ - 受けルガチアンチ

 

【ポケモンSVシングル】いともたやすく行われるえげつないイルカマン

 

 どうも。

 諸事情でイルカモチーフのポケモンは絶対出ないと思っていました。

★本日のおしながき

600族以上ケッキング以下

 戦闘中に条件を満たすとフォルムチェンジして種族値も変わるポケモンは従来のシリーズでも登場したが、手持ちに戻ることでフォルムチェンジをするという一風変わった特性を持つのが、今回の主役イルカマンである。

 可愛らしいイルカの姿をしたナイーブフォルムは合計種族値457だが、マイティフォルムにFCすることでなんと、合計種族値が650まで跳ね上がる。これは一般ポケモンの最高峰といわれる600族以上で、ケッキング(670)より少し低い数字である。

 新春スペシャルと銘打ったシリーズも今回が最後なので、最後はギミックやコンボではなくシンプルな火力をテーマに遊びたい。

 

戦術紹介

 読者の皆様はきあいパンチを使ったことはあるだろうか。ポケモン実況者のもこう氏が使用したクチートの影響もあってバトレボ時代は見かける技だったが、近年のレート対戦ではほぼ見かけない技になってしまった。

 ノーリスク威力150と引き換えに相手の攻撃を受けると技が失敗してしまう難しい条件があり、気軽に使えないところがネックとなっている。とはいえ、決まったときは実に爽快で弊ブログでは過去にガラルヒヒダルマウーラオスに使用させた記事を投稿している。

 

 現環境で最もきあいパンチで火力を出せるポケモンは誰かというと、それは鉄の拳ケケンカニである。アイテムを考慮せず、A実数値+特性+テラスタルのみで計算すると同氏のきあいパンチ火力指数で72,720(202*150*1.2*2.0)を計上する。

 根性ハリテヤマ85,050と最も高い数字を計上するが、根性は意図的に条件を満たすためにかえんだまなどを持たせるケースがほとんどで、それならケケンカニ氏にこだわりハチマキを持たせたらもっと数字が伸びることを考慮して除外した。

 これらのポケモンの数字は魅力的だが、格闘タイプのポケモンが格闘テラスタルを使用して「今から格闘技を撃ちま~す」という素振りを見せたら、環境で有力な物理ストッパーのラウドボーンが出てきて詰んでしまうのではないだろうか。せっかくの高火力も通らなければ威力0の技と等しいのである。

 しかし、イルカマンであれば元の火力が高いうえにタイプが水なのでラウドボーン氏とて簡単に受け出しを許さない。同タイプテラスタルに比べたら火力は落ちるが、格闘テラスきあいパンチの火力指数は最大で52,425(233*150*1.5)とそこそこの数字を出せる。8世代のA特化ザシアンの+1きょじゅうざん54,900なので、瞬間火力としていかに優れているか伝わるだろう。

 前置きが長くなってしまったが、今回はイルカマンきあいパンチをするだけ。だけ、といってもイルカマンは変身しなければいけないのでそれを円滑に進めるためにオリーヴァを準備した。

 だっしゅつボタンこぼれダネの被弾時に発動する2種類の要素を組み合わせて、グラスフィールドを展開しつつイルカマンに戻し、イルカマンはグラスシードでBを上げることでみがわりの生存率を上げる、ひいてはきあいパンチの成功率を上げることを目指す。

 イルカマン@グラスシード

 シンプルにAS、Aは特化したかったがS100が微妙なラインなので最速で妥協した。ダイマックス環境で3年くらい忘れていたが、早いポケモンみがわり+アンコールは非常に強力で、補助技やみがわりが耐える程度の技を縛ってきあいパンチに繋げたい。

 

実戦レポート

 解説する試合のパーティと選出。

 イルカマン+オリーヴァは変身を円滑に進めるだけではなく、物理特殊で分担できて相性補完も優れている点が良い。

 初手はイルカマンデカヌチャン

 先発デカヌチャンはまずサポートなのでとりあえず殴ってみた。でんじはを警戒するならみがわりが正解なので、きあいパンチを撃ちたい衝動を抑えられなかったプレイングミス。ダメージは1/3強といったところか。

 ナイーブフォルムではパワーが足りないので一旦オリーヴァに引いたらだっしゅつボタンを失ってしまい脱出できず。ちからをすいとるでデカヌチャンをいなしてガブリアス登場、ガブリアスに対しても同様にパワーを下げてイルカマンに戻したい。

 ガブリアスは一旦引く。Aが下がっているので引くことはある程度予測できて、パーティにマリルリやヘイラッシャが入っているので引き先を確認するためとりあえずみがわりロトム登場。

 草ロトムさえ飛ばしてしまえばイルカマンに対する脅威はほぼ除去できるので、ここは迷わず格闘テラスタルを使用。

 ロトムを破壊した。仮にロトムがスカーフでボルトチェンジを使用してみがわりを壊しつつ引く動きをされると厄介だったが、イルカマンが先行できた。

 ちなみに、ロトムがHBだと103~123ダメージに抑えられるため、CS振りの眼鏡あたりだったと推察する。

 ガブリアスに対してはみがわり→きあいパンチグラスシードでBが上がっている、毎ターン回復が入っていたので後攻みがわりを貼れるだけHPを残せた。

 みがわりを使うHPが2程度足りないのでデカヌチャンにはジェットパンチを使用して退場、セグレイブが締めて勝ち。対戦ありがとうございました。

 解説する試合のパーティと選出。

 フローゼル単騎は考えにくいが、モロバレルボーマンダなど雨パのパーツが点在するのでユキノオー……と言いたいところだがこのユキノオーぼうおん*1なのでイルカ+オリーヴァに、ジバコイルがヤバコイルなので炎テラスセグレイブ。

※*1詳細:【ポケモンSVシングル】剣 舞 セ グ レ イ ブ - 受けルガチアンチ

 初手イルカマンケンタロス(炎)。

 初手イルカかノオーの二択で後者に強いケンタロスが出てくるということは何かしら雨のギミックがある、ノオーを除外する駒が必要になるのでケンタロスは残したい、ほぼ交代だろうということでクイックターン……と言いたいがそんなものはない。

 (いるのなら)モロバレルが来そうなのでこちらもオリーヴァに交代、相手はケンタロスからジバコイルへ。攻撃を受けてこぼれダネ→だっしゅつボタンの順に作動して交代。

 割とジバコイルがどうにもならない選出をしているが、ここは腹を括るしかないので様子見がてらみがわりを置くとジバコイルあまごいを使用。

 考え得るケースとして、初手のイルカマン対ケンタロスの対面はケンタロスがS種族値で上回るのでクイックターンをせずに素引きした、と思わせたのなら意図しないところでクイックターンを隠せていて、がんじょうを潰しつつクイックターンでオリーヴァに引くと考えたか。

 当然、隙は逃さずアンコールあまごいをロック、ジバコイルあまごいを使用し続けるので交代は必須、次のターンはどれか一体を犠牲にしなければいけない。

 ジバコイルを粉砕。どうしてもがんじょうを意識してしまったが、アーマーガアなどを逃がさないじりょく、後攻火力に特化したアナライズもマイナーどころか見かけるので、この二つのうちどちらかだった。

 ケンタロスも粉砕して残りはやはりフローゼル

 あっと驚くようなテラスタルを残していたとしてもこちらはオリーヴァとセグレイブを残している、じきに雨もやむのでほぼ勝利を手中に収めたか。

 B+1イルカマンがケンタロスの攻撃でみがわりを残せたので、フローゼルに残された手は無しか。対戦ありがとうございました。

 

反省点

 雨+水テラスタルウェーブタックルの方が火力が出る(233*120*1.5*2.0=83,880)。以下、参考。

 

 こちらは以前も掲載させていただいた、ひとりまつり氏の動画(掲載の許諾を得ています)。

 同氏は一撃の火力に拘ったパワー系企画を得意とし、直近では毒暴走ザングースを題材にした動画が好評を博していた。反対にねらいのまとを活用したゲームメイクやスターのみを使った大博打など、変化球の引き出しも豊富で幅広い芸風(?)を持つ。

 際どいテーマに挑戦しながら原則として勝ち試合を採用し、再現性を確立するために上手くいったものを2~3試合作るなど、コンテンツ制作にストイックなところが素晴らしい。個人的に動画を視聴する際は「参考にできるか、それは再現性のあるものか」という点に注目するので、同氏の動画は参考にする場合に信頼がおけるのもポイント。

 他の動画に関しては掲載の許諾を得ていないので、ぜひ同氏のチャンネルを訪問してみてほしい。

 

おわりに

 スカーフビルドアップコノヨザルから始まった新春スペシャル、いかがでしたでしょうか。

 エンタメバトル勢としていろいろ思うところがあって、弊ブログが大切にしているテーマのひとつである「無駄こそ楽しむべき」に立ち返り、マジックルームを用いた一連の記事群を投稿しました。初めのうちは(お正月ということもあって)反応が良かったものの、徐々に飽きられてしまったのは己の実力不足を痛感しました。まどろっこしいことを散々やったので、最後はスカッとする純粋なパワーを出せるイルカマンでお口直しをしていただければ幸いです。

 

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【ポケモンSVシングル】マジックルーム構築(マジルパ)について考える

 

 どうも。

 新春スペシャルと銘打ったシリーズも今回含めて残り2回です。

★本日のおしながき

マジックルームとは?

 マジックルームとは発動から数えて5ターンの間、全ての道具の効果を消失させる技である。有効ターン中にもう一度使用することで解除可能、初出の第5世代では優先度が-7(最も低い)に設定されていた。

 対象が「全て」なので当然ながら自分の(発動した側の)ポケモンが持っている道具も使用ができなくなるが、今回のテーマであるマジックルーム構築の場合はアイテムの効果が無くなることを前提に組むので、使用側がデメリットを被ることはない。逆に、アイテムに依存した相手のポケモン(例、襷による行動保証やオボン込みn耐え調整など)を崩しやすくなるメリットだけが残るように使うのが良いと考える。

 マジックルームを戦術として組み込むうえで筆者が考えるメリット・デメリットを一部、以下にまとめた。

<メリット> 

 ・きあいのタスキが前提のポケモン(直近だとキラフロルやマスカーニャなど)を牽制できる、もしくは出てきても行動保証を与えない。

 ・木の実系アイテムを前提とした動き(未解禁だがアッキミミッキュやこらえる+イバンなど)を崩す、疑似的な特性きんちょうかんとして使える。

 ・拘り系アイテムやチョッキ持ちポケモンのステータス補正を無効化できる。

 ・だっしゅつボタンレッドカードといった交代に干渉するアイテムを縛ることで円滑なサイクル戦を阻害できる。

 ・ふうせんを持っていることを隠せる。

 ・味方に持たせた拘り系アイテムの制約も無視できるので、マジル前後で拘りオン/オフの切り替えができる。マジル中は拘りが分からないので、終了後の奇襲がより効果的になる。 

<デメリット>

 ・相手のアイテムが見えないので、マジル終了後の拘りアイテム(特にスカーフ)に気を付けなければいけない。

 ・同様にいのちのたまも無効化されるので、マジル前後のダメージ感覚にも気を付けなければいけない。

 ・戦術として組み込む場合はターンの管理が難しい。例えば「nターン後に消失するように動かなければいけないが、それまで相手の攻撃をしのげない」など、切れてほしいタイミングや残したい場面での管理をしなければ戦術が回らない。

 

マジックルーム構築を考える

 マジックルームの効果やメリット/デメリットについて簡潔に触れたところで、次はマジックルーム構築についての話を進める。

 

 アイテムの効果を消失させるのは非常に強力だが、相手のポケモンが何を持っているのか分からなければ使用者にとってもリスクが生じる。例えば、ゴチルゼルプクリンといったポケモンは特性におみとおしを持つので、対面の相手が何を持っているのか確認したうえでマジックルームを使用できるが、おみとおしの発動は場に出たタイミングなので後続のポケモンが持っているアイテムまで確認するのは難しい。

 よって、相手のアイテムを消失させる使い方はパーティ単位の戦術として見たときに弱いと感じた。そこで、視点を変えることでマジックルームの良さを生かせないか考えた結果、自分のアイテムを消失させることでアドバンテージを得る方法について模索した。

 「自分のアイテムを消失させる」と一口にいうと何を言っているのか意味が分からないと思うが、ではなんらかの制約が生じるアイテムを一時的に消失させるというとどうだろうか。ここでいう「なんらかの制約」というのは拘り系アイテムが持つ技の固定とつげきチョッキが持つ補助技を使えないことを指す。

 これまでサンプルとして投稿してきた記事群で使用した「こだわりスカーフ+ビルドアップ」「こだわりスカーフつるぎのまい」「こだわりハチマキ+りゅうのまい」といったように、拘りアイテムと積み技を組み合わせたものがマジックルーム構築のベースとなるのではないかと考えた。

 このギミックの強みは「積み技を見せることで拘りアイテムを隠す」という点にある。第8世代のシステムであるダイマックスは一時的に拘り状態を解除できるため、スカーフドリュウズ剣舞、鉢巻カイリューに竜舞など拘りアタッカーとDMアタッカーを一体で使い分けることができた。技スペースに余裕があれば拘り+積み技というのはあり得る選択肢だった。

 しかし、ダイマックスがない現在ではそれが不可能なので「積み技を使った=拘りは無いだろう」と錯覚させやすい。マジックルームを使用しているので可能性としては無くはないが、それをどこまで信用するかは相手次第である。

 少々話が逸れてしまったが、マジックルーム前後の拘りオン/オフをコントロールすることで急にスピードが上がった、受けられると思ったダメージが受けられなかったといったギャップが生じ、崩しの面で強力な戦術になるのではないかと考えた。

 イレギュラーな使い方としてはふうせんを隠すものもあるが、こちらはパーティの軸とするには少々弱い。理論としては「ふうせんを持ったポケモンは、場に出たときのメッセージも無くなる。マジックルーム発動中に攻撃を受けてもふうせんが割れることはない。ただし、場に出たときのおもさによるエフェクトはふうせんの効果で消えたままとなる*1」という仕様を活用し、ふうせんを隠すことで地面技を誘発するポケモンで地面技を透かし、その1ターンで積み技を使おうというもの。

 仕様についてひとつ補足すると、ふうせんを持ったポケモンが場に出ている状態でマジックルームの効果が消えても、改めて「○○は ふうせんで ういている!」とアナウンスされないため、ふうせんを隠すことが可能。

※*1:ポケモンWiki様「マジックルーム(場の状態)」の「詳細な仕様」より引用

 旧世代のものだがやっていることは同じなのでサンプルに。

【ポケモン剣盾シングル】風船ゼクロム(風船ではない) - 受けルガチアンチ

 このようにパーティ単位でマジックルームを共有し、自らのアイテムを隠すことで一時的に行動の自由を得てもう一度拘りの恩恵を受ける、持っているアイテムを持っていないように見せることで相手を騙すといったことがマジックルーム構築の基本的な動きになるのではないかと考えた。

 

マジックルーム構築を作ろう

 マジックルームは5ターンしか持続しないので、パーティ全体をマジックルームに依存したポケモンで固める必要はない。選出の基本形はマジル要員+マジルエースの二枠までは確定で残りの一枠は補完枠になるので、先発やスイーパーにアイテムが前提となるポケモンを組み込んでも支障はない。ただし、マジックルームのターン管理次第で3体目のポケモンにも干渉する可能性はあるので、その点だけ気を付けたい。

 何はともあれマジル要員だが、以下の表を見てほしい。

 見ての通り、今作SVでマジックルームを習得できるのはゴチルゼル系統クレッフィの4体のみである。よって、マジル要員は耐久力に定評があるゴチルゼルか、特性いたずらごころにより先制で使用できるクレッフィの2択となる。輝石ゴチミルも選択肢に入りそうだが、マジルを使用した時点で輝石の効果が失われるので、2手目以降の行動を考えた際に素の耐久力で勝負できるゴチルゼルでよい。

 マジルエースについては一時的なアイテムの消失と併せて使用したいポケモンを自由に組み込めば問題ない。今作は特性てんねん持ちの強ポケモンが一挙に3体追加され、積みアタッカーに対する強烈な牽制をしているので、積み系の戦術ばかり組み込まないように気を付けたい。

 補完枠には先発からマジル、後発からマジルの両方に対応できるように初手で出しやすいポケモン(マスカーニャなどの高速アタッカーやステロガブリアスなど)、スイーパーに向いている対面性能が高いポケモン(カイリューや総大将ドドゲザンなど)を選びたい。

 

 マジックルームに実際に触れてみてほしいので、今回は構築済みデッキを二通り準備してきた。

 こちらは鉢巻竜舞ギャラドス+風船サーフゴー2軸の比較的扱いやすいものを持ってきた。基本的にはマジックルーム中に竜舞を積んだギャラドスがマジル終了後に飛行テラス→テラバーストを連射する動きを目指しつつ、地面技を誘えそうなら風船サーフゴーも出したい。努力値は右下の番号順にHB、HB、AS、HS、AS、HA。

 こちらは記事も投稿したスカーフビルドアップコノヨザル軸。マジックルームのターン中に炎テラスタルを使用して地面技を誘い、マジル終了後に風船で透かす中級テクニックを楽しめるセグレイブ入り。努力値は右下の番号順にHB、HB、DS、AS、AS、HC。

 「シングルなのにまもるが複数入っているのはなぜ?」と思うかもしれないが、これに関してはマジックルームのターン調整用になっている。例えば「発動から○ターン後にマジルエースを出して○ターン後に効果が終了するように調整したい」といった場合にまもるを使用してターンを消費する。基本的には風船絡みのケースで使用を想定している。

 

マジル構築に取り組んで

 記念すべきSVのシーズン1はマジックルーム構築の考察に捧げた。決して頷けるような成績ではなかったが、ひとつ「これ」と決めたものを追求できて満足だった。

 以前も書いたようにカードゲームが好きなので、ポケモンでもただ勝負に勝つのではなくカードゲームのコンボのような、エンターテインメント性のある戦術で勝ちたいと思っている。「勝ち方をデザインする」というと大仰な感じがしてしまうが「どうやって勝つか」ということを常に考えていて、今回考察に時間を費やしたマジックルームは非常に面白い要素だった。

 「ギミック」や「コンボ」といった表現を用いる以上、それはパーティ全体で連動しなければいけないと思っているので、マジックルームはパーティ全体で共有できるコンセプトとして扱いやすい側面もあった。

 マジルが「シングルではあまり見かけないマイナーな技」だから面白いというのではなく、ポケモンの型を決定する際やパーティを組む際に重要な要素となるアイテムを一時的に除外できるのは唯一無二であり、はたきおとすなどの失ってしまう効果とは違い「戻ってくる」という点に着目していろいろと遊べたのが楽しかった。

 

 

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【ポケモンSVシングル】鉢 巻 ボ ー マ ン ダ

 

 どうも。

 600族で一番好きなのはやっぱりボーマンダ

★本日のおしながき

マンダは初手竜舞や

 ボーマンダというポケモンはどの世代でも魅力的に映る。筆者は元受講生なのでボーマンダといえば、やはり初手竜舞である。竜舞をしないボーマンダボーマンダじゃないし、ボーマンダをしない竜舞も竜舞ではない(?)。

 はねやすめの返還など前世代から変更点はあるものの、大きく変わった点は無いボーマンダが現在の環境で活躍できるのか対戦してみる、

 

戦術紹介

 今回はボーマンダの火力を追求したいので、講師の教え通りに初手竜舞をする。竜舞を積んだうえでもっとパワーが欲しいのでこだわりハチマキを持たせて補強する。何を言っているのか分からない場合は、直近のアーカイブも読んでみてほしい。

 前回の剣舞セグレイブ」つるぎのまい(A+2)とこだわりスカーフの組み合わせで運用したが、今回は剣舞よりも+1分足りない代わりにSも同時に補強できるりゅうのまいに、足りないパワーを補うこだわりハチマキを掛け合わせることで、マジックルーム前後で火力の伸び方が全く異なり「これくらいなら受けられる」という対戦相手のダメージ感覚を破壊する。また、鉢巻の上昇分はランク補正ではないため、2積みするより鉢巻を持って1積みした方が効率が良い。

 上が+2げきりん、下が+1鉢巻げきりん(ダメージ計算はポケモントレーナー天国様のものを使用させていただきました)。

 これで単に奇を衒ったものではないと理解していただけただろうか。竜舞+鉢巻の火力をベースに、特性をじしんかじょうにしているので一体でも倒せば火力は爆発的に上昇する。

 ボーマンダ@こだわりハチマキ

 パワーを追求するテーマに則って補正が乗る元の数値を可能な限り上げたいのでA特化、特に仮想敵を定めていないのでSも最大まで振って準速。

 ポイントとして、鉢巻で技選択が固定されるので可能な限り一貫性のある技を選択する。攻撃タイプの飛行は抜群こそ3つだが無効0半減3つと一貫を取りやすい。ボーマンダは一致で飛行技を使えるので飛行テラスタルを盛ることでさらに火力が伸びる。技選択はダブルウイング(40*2)か飛行テラバースト(80)になるが……

 ダブルウイングの場合は2回判定があるので1回目と2回目のダメージで総量が左右されるが、ばけのかわマルチスケイルといった防御特性を貫通できる可能性を考慮して採用。※飛行テラバは威力80の一致技で代用、ダメージ計算は先ほど同様ポケモントレーナー天国様のもの。

 みがわりはマジル中の選択肢として相手の補助技を透かす、マジルターン調整などの用途を考えて採用。

 

実戦レポート

 解説する試合のパーティと選出。

 テラスタルを考慮しなければ5/6で飛行タイプが一貫するのでゴチルゼルボーマンダに加え、積みポケモンが見えているのでラウドボーン。

 初手ゴチルゼルロトム

 ロトムが拘りトリックでゴチルゼルを妨害してきても動けるようにマジックルームから。

 ゴチルゼルが倒れて死に出しボーマンダ(この時点でマジルターン残り2)。

 マンダロトム対面は引くかフェアリーテラスタルか分からないのでみがわりで様子見をしたらおにび、次のターンりゅうのまいを積んでロトムボルトチェンジカイリュー。ここでマジルターンが終了して鉢巻復活。

 みがわり無しにカイリューと撃ち合うのは難しいが、ラウドボーンに引いたところでロトムが生存しているのでサイクルは困難。攻めるしかないのでテラスタル。A+1鉢巻飛行テラスダブルウイングの火力はいかに……

 マルスケが適用される1発目(スクショ1枚目)で大体1/3程度削れたので、半減効果が失われる2発目でカイリューを倒すことができた。

 上がマルスケ込み、下が無し。H4振りカイリューの場合は確定。

 タイミングを逃したがグレンアルマを倒した。

 竜舞+1、自信過剰+2でパワーモリモリ。

 対戦ありがとうございました。

 グレンアルマではなくロトムから出していれば、ロトムをHBと仮定すると+2鉢巻飛行テラスダブルウイングは34.4~40.8%ダメージなので、返しの電気技でボーマンダを倒せた。考え得る理由としてはマルスカイリューを貫通できる火力でダメ計が狂ったか、もしくはそこまで耐久に割いていなかったか。

 解説する試合のパーティと選出。

 マスカーニャを選出しようとしてラウドボーンを選出するミス。

 初手はクレッフィウルガモス

 起点にされそうなのでひかりのかべから入り、+2まではリカバーできる準備を整えてからマジックルーム。2積みされたら壁があるうちにボーマンダに引くことを考えたがクレッフィは倒される。

 ラウドボーンを見て初手にウルガモスを投げてくるのはテラバーストで崩せる自信があるから、そうであればフェアリーテラスタルは無いかということを考えていた。

 死に出しボーマンダウルガモスのテラスタルの有無を見たかったのでみがわりから入りウルガモスからマリルリに交代。みがわりがあるうちにりゅうのまいを積んでマジックルームの終了を待つ。

 マリルリが少なくともHに振っていると、+1飛行テラスダブルウイングでは確定にならない(1発あたり45.4~54.1%ダメージ)ので、鉢巻の復活を待つべくもう一度みがわりでターン調整。

 鉢巻が戻ってきたのでマリルリを処理。HB特化でもない限り+1鉢巻飛行テラスダブルウイングで確定。さらにここでA+1を獲得。

 みがわりを2回使ってしまったので、しんそくカイリューこおりのつぶてセグレイブが出てきたら厳しかったが、再度ウルガモスが出てきた。

 鋼テラスタルで受けに来るが+2鉢巻飛行テラスダブルウイングで1発あたり約半分程度入った。2発しっかり当ててウルガモスを処理。どのような振り方をしているのか分からないが、無振りの場合は最低ダメージで6割強入るので、最低でもHは振っていた。

 物理受けガモスの場合は倒せていなかったが、到底A+2とは思えないパワーを見せられたと思う。

 マスカーニャふいうちを被弾するが、ギリギリ耐えて最後のダブルウイング。文字通りダブルウイングを3回選択するだけで勝てる試合を作れた。対戦ありがとうございました。

 

反省点

 ボーマンダですべて破壊したかったので、サンプルとして提示できる全抜きした試合を複数作るまで大変だった。これはこの記事で書くことではないが、マジックルームパーティはマジルコンボ2枠+補完1枠で選出できるので、比較的勝ち試合に近づけやすい。とはいえ、強力な先制技や特性てんねんで簡単に止まってしまうので、そこそこ試行回数を稼いだ。

 これは勝ち試合にできなかったのでサンプルとしての使用はできなかったが、竜舞+自信過剰でA+2になったボーマンダに対して出てきたヘイラッシャへの与ダメージ。当然ながらA+2分はてんねんで無効化されてしまうが、鉢巻は素の火力としてカウントするので、鉢巻飛行テラスダブルウイングで1発あたりこれだけ削ることができた。

 マジックルームを疑わなければ相手には鉢巻が見えていないので、強特性を持っていて数値受けもできるポケモンに対しても死角から崩す力があるのはこの戦術ならではの強みだと感じた。

 

 今回でマジックルームを用いた戦術の記事は一旦終了し、次回「マジックルームパーティとは?」という記事で締めくくるので、最後に全体の反省としてひとつ。

 SVからはこれまでよりも一層、戦術の考察(記事の導入部分)や再現性の確立(実戦レポートの部分)をしっかり作っていきたいので、マジックルームに対して熱意をもって取り組めたと思う。ただ「もっとできる」「まだ可能性はある」ということは感じているので、これからも折を見て追及したい。

 

おわりに

 SVからはシーズン毎の振り返り記事を廃止する予定なので、ご了承ください。

 基本的にそのシーズンに投稿した記事を振り返りつつ、順位とか感想を書いているだけで目新しい内容は無いのでこれといって支障はないと思いますが、もし楽しみにしていた方がいたら申し訳ない。その分別のコンテンツに力を入れたいなと。

 

 それでは今回はこのへんで。何かありましたらコメント欄かTwitterまでお願いします。

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【ポケモンSVシングル】剣 舞 セ グ レ イ ブ

 

 どうも。

 強いみたいですね、セグレイブ氏。

★本日のおしながき

第9世代の600族はゴ○ラ!?

 SVが初出の600族といえばセグレイブだが、一言でいうと「背中からデカい剣が生えたゴジラである。

 このセグレイブ、見た目通りのパワータイプでありながら新特性ねつこうかんにより火傷をしない、炎タイプの技を受けるとAが上がるといったユニークな性能を持つ。氷が絡む微妙なタイプにはテラスタル、一致技のつららばりには新アイテムのいかさまダイスと育成の幅が広い点も魅力だ。ということで今回は弊ブログもセグレイブに手を出してみる。

 

戦術紹介

 セグレイブのA種族値は145、これは現環境で3番目に高い数字である。最も高いA種族値160はケッキングとイルカマンの2体でこれらは何かしらの制約があるポケモンなので、純粋なパワーという点ではA147のオノノクスに次ぐ数字だ。

 そこでひとつ、もちろんりゅうのまいも覚えるがA種族値145のセグレイブがつるぎのまいを使ったらこれはもう、ひとたまりもない爆発力を生むのではないかと考えた。あとは絶妙な遅さを補うため当然のようにこだわりスカーフを持たせて完成。

 「またマジックルームかよ」という声がこの文章を書いている段階から想像できるが、もう少し付き合って欲しい。

 SVのシーズン1はマジックルームを軸としたマジルパの考察に時間を費やしたため、その過程で目覚ましい活躍をしたポケモンの紹介からしたい。初めにマジルパの内容を投稿してしまうとそれ以降のネタ明かしになってしまうので「STAR WARS」の456→123のような感じで順序を入れ替えさせていただいた。

 マジルパについては締めの記事できちんと説明するが、いくつか考案した使い方のうち今回は遂行速度の高いバフと、見えないスカーフによる素早さのトリックを掛け合わせたものとして、剣舞スカーフセグレイブを取り上げる。要するにつるぎのまいわるだくみといった、+2ずつ加算されるバフでパワーを上げる速度を優先し、Sに関してはスカーフによる最小限のバフに留めるといった理論だ。

 セグレイブ@こだわりスカーフ

 シンプルにAS振りなので、非マジル下では通常のスカーフセグレイブとして扱える汎用性がウリ。

 テラスタイプは弱点の鋼+妖半減、格闘や竜を等倍にできる。初めはフェアリーで環境に多いドラゴンの前で剣舞→マジル終了で奇襲を狙っていたが、鋼+妖打点を被弾することが多く、安定性を重視して炎に変えた。

 

実戦レポート

 解説する試合のパーティと選出。

 クレッフィ+セグレイブにラウドボーンがいるのでユキノオー

 初手クレッフィバンバドロ

 何はともあれマジックルーム、相手はステルスロックから。まもるを挟んでマジルターンを調整してクレッフィが倒される、死に出しセグレイブつるぎのまいを選択、マジルターン終了。

 バンバドロというポケモンをよく理解していなくて、先発でステロを撒くタイプにボディプレスがあることを把握していなかったのでテラスタルをせず受けてしまったのはプレイングミス。

 つららばりバンバドロを処理。いかさまダイスではないので倒し切れなかった場合を想定してテラスタルを使用。この頃はフェアリーだったのでボディプレスを半減できる。

 マジックルームが切れてスカーフの効果が戻っているので、サザンドラもスカーフでない限り先行できる。比較的序盤の頃はスカーフが多かったと思うが、この試合のスクショを撮った昨年末は撃ち分けられるいのちのたま、交代先への負担増のこだわりメガネが増えていた印象がある。
 こおりのつぶてを警戒したゴーストテラスタルかと思われるが、妙に速いセグレイブが先攻してサザンドラを処理。テラスタイプ次第(鋼など)では負けていた。

 最後の一体はラウドボーン。特性てんねんでセグレイブのA+2は無視されてしまうのでここは一旦ユキノオーに引きたい。

 恐らく、相手視点ではセグレイブのスカーフは見えていなかったので、下手にじしん等で削られるのであればS種族値で上回るサザンドラから出そうという意図だったか。ラウドボーンから先に出ていたら厳しかったが、マジックルーム下でのつるぎのまいつららばりで上手く隠せたのが功を奏した。

 対戦ありがとうございました。切断エンドになってしまったが、ラス1ラウドボーンをユキノオーで詰める試合を採用したかったので。

 マジックルームというバレバレの答えが転がっていたものの、相手視点で拘っていないセグレイブが(恐らくS振りの)サザンドラより先に動いたことで動揺を誘ったか。いずれにせよユキノオーがいるのでほぼ勝ちは決まっていたと思う(後述)。

 解説する試合のパーティと選出。

 ゴチルゼル+セグレイブとアーマーガアが重いのでサーフゴー。先発次第ではマジックルーム風船の選択肢も。

 初手ゴチルゼルニンフィア

 マジックルームを展開してみがわりを置かれる。ゴチルゼルでは対処できないので、みがわり+めいそう型と読んでセグレイブを着地させる。炎テラスタルで一発受けつつつるぎのまいを積んだ。

 4発当ててニンフィアを処理。ダイスなしで4発当てたのはラッキーだったが、ダメージ量的にニンフィアはHB振りでCには振っていないと見られ、+1ハイパーボイスをもう一度耐える余裕はあった。

 ニンフィアを倒してマジックルームが終了。ニンフィアを除外したのでドラゴン技の一貫性はできたが、アーマーガアが来るのならテラバーストを撃たなければいけない。ユキノオーがいるのでペリッパーフローゼルは選出しにくいと思うが、出ていれば炎テラスタルを使用しているのでピンチ。

 ハラバリーから来るということはアーマーガアはいない、もしくは炎テラバーストを警戒しているという可能性もあるが、いないのであればドラゴン技が一貫するのできょけんとつげき。裏をガブリアスと読むならメジャーな炎テラスタルだとつららばりは負け筋になる。

 ガブリアスはスカーフではなかったので、セグレイブが先行できた。しかし、襷で耐えてセグレイブが倒されてしまった。

 ふうせんサーフゴーが裏に控えているが、ガブリアスの攻撃を大体一発は耐えられるゴチルゼルローキックガブリアスを倒して勝ち。対戦ありがとうございました。

 

反省点

 つるぎのまいの爆発力は思った通りだったが、スカーフで小回りが利かないので「壁を張ってりゅうのまいでいいのでは」という結論に至った。

 実戦レポートにも登場したように、サザンドラガブリアスといった本来S種族値で負けている相手に対して、見えないスカーフによるスピードのトリックで嵌められるのは強いし楽しかった。

 つららばりに関して、いかさまダイスの安定感が無いのでやや運に左右される。先ほどのニンフィアを例にダメージを比較すると……

<+1つららばり(竜舞想定ダイスあり)>

 HBニンフィア(202-128)に対して1発あたり33~40ダメージ

 ダイスは4発以上確定なので中央値の36を元に計算すると4発で144ダメージ、5発で180ダメージ

<+2つららばり(剣舞想定ダイスなし)>

 HBニンフィア(202-128)に対して1発あたり43~52ダメージ

 ダイスなしヒット数の平均を3とし、中央値の47を基に計算すると141ダメージ。

 +2なら3発でも+1の4発分とほぼ変わらないダメージを期待できるが、n回当たるという保証が無いのでここぞという場面での信頼度が低いのが難点か。

 

おわりに

 徐々に体がマジックルームを求めるようになってきましたか?そうでしょう、マジックルームもまた読者の皆様を求めていますよ。

 ということで次回はもうひとつの使い方サンプルを提示し、その次はいよいよマジルパについてまとめようと思います。今からでも全く遅くは無いのでゴチルゼルクレッフィを育成しておいてください。

 

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おまけ

 なぜユキノオーでラウドボーンに勝ち確なのか

 ラウドボーン以外を(相手のテラスタルを考慮しなければ)炎テラスタルセグレイブで見られそうなのでクレッフィ+セグレイブ、天然ラウドボーン対策にユキノオー

 プラン通り展開して自分の方が速いと思っているサザンドラもしっかり処理、パーモットも処理してこのあとラウドボーンが出てくるのでつららばりで拘っていることもあり、ユキノオーに引かなければいけない。

 まずい、フレアソングは名前の通り炎タイプの攻撃技、炎が4倍弱点のユキノオーはオーバーキルされてしまう……!

 残念、聞こえねンだわ……

 はい。こちらのユキノオーは特性ぼうおんでフレアソング(音技)は無効。

 努力値はH212(192)、D236(148↑)、S60(88)振りにしており、まずSは4振りラウドボーン(87)抜きであくびおにびに対して先にみがわりを置き、HDはみがわり(192/4=48)が無振りラウドボーンのシャドーボールを最高乱数以外耐えるまで振った。

 ラウドボーンはテラスタイプにバラつきがあるのでテラバーストまで考慮するのは難しかったが、フレアソングワンウェポンもしくはシャドーボールとのツーウェポン型なら嵌められるようにした。ノオーは意外と数値が足りなくてカツカツだったので汎用性は下がるが、水ロトムやヘイラッシャあたりにも嫌がらせができるはず。

 技はぜったいれいどやどりぎのタネみがわりまで確定で、ウルガモスに起点にされるのでがんせきふうじを選択した。どちらにせよサイクルの中でラウドボーンを流しても後続のアシストにつながる技を選びたい。

 選出画面ではユキノオー+セグレイブに見えるが、ユキノオーは雪を降らせないしセグレイブは剣舞をした後やけに速くなるしで対戦相手を混乱させられたと思う。

 

おわり

 

【ポケモンSVシングル 特別編】緊急ミッション:ドラテガブを完封せよ

 

 どうも。

 お正月休みで暇なので少しだけ。

★本日のおしながき

増殖するG(Garchomp)

 昨年末くらいから、とあるガブリアスが流行しているらしい。ステルスロック+まきびしからドラゴンテールを放つ、昔は「昆布型」と呼ばれたスリップダメージ+強制交代技を組み合わせたものだ。

 このような「上位で流行」といった謳い文句が付いているものは動画等が公開された頃には一世代前くらいの流行になっており、下位に浸透する頃には全く違った型が流行しているというのは世の常だが、言葉の魔力にあてられて模倣するプレイヤーが増えるのであれば、それはそれでマーク屋としては有難いことこのうえない。

 

ドラテガブを分析する

 ドラテガブを完封するためにはまず要素を分解して考える。

 適当に「ガブリアス ドラゴンテール」で検索すると、およそ11年以上前にポケ徹さんの育成論コーナーに投稿されたものが出てきた。当時BWの環境なのでこれでは現代の参考にはならないだろうと却下。

 文字は速読ができるが動画は観なきゃいけないので正直面倒くさい。適当に流し見してあとは実際に自分がランクマで対戦した経験から分析すると、HBに振ってステロ+まきびし+ドラゴンテールまでは確定で、じならしじしんを選択している。アイテムはオボンのみで場持ちを良くしているケースばかり(アイテムを確認できた場合に限る)なので、レッドカードを過度に警戒する必要はないと感じた。

 これだけ分かれば十分で、性質上初手で出てきて展開して荒らせるだけ荒らして裏のアタッカーでスイープするのがシンプルな使い方だと思うので、今回は初手ガブリアスに合わせてTODを目指す

 

ドラテガブを完封しよう

 いくつかの要素に分けて考える。

要素1

 TODを目指すので対面のロックが必要。ガブリアスに対して特性かげふみとおせんぼうといった要素で交代を縛るのが第一。新ポケモンマフィティフの特性ばんけん+くらいつくも可能性はある。

要素2

 ガブリアスの交代を縛ってもドラゴンテールで流されてしまうので、次にその対策を考える。

 ほえるふきとばしのようにちょうはつで防げないが、逆にいえば攻撃(ダメージ)を受けなければ交代の効果も生じない。つまり、ドラゴンタイプを無効にできるフェアリータイプを用意するのが簡単だろう。

 現状では特性きゅうばんを持つポケモンがいないので特性での対策は不可、ねをはるを使えるポケモンはあるものの、とおせんぼう等と両立できるポケモンがいない。

要素3

 ドラゴンテールをフェアリータイプ(フェアリーテラスタル)で無効化するとして、次は一致地面技をどう躱すか考えなければいけない。TODを狙うのであればガブリアスとの対面を崩さず、HP割合での判定勝ちをしたいので可能であれば地面技も無効化しなければいけない。特性ふゆうで無効化するのが定石だが、フェアリーテラス+ふうせんの外付け要素でとおせんぼうを使えるポケモンを無理やり通してもよいかもしれない。

 

 これらの要素を総合した結果、完璧に条件を満たすポケモンとして真っ先にドータクンが思い浮かんだ。シンプルにとおせんぼうで交代を縛れる、鋼+エスパーなのでドラゴンテールを無効化できないがフェアリーテラスタルを使用すれば無効になる、地面技をタイプではなく特性ふゆうで対策できるので、ドラゴンテール+地面技ツーウェポンのガブリアスに対して完封できる性能がある。

 なおかつ、先発で出すドータクン自体がトリックルームステルスロック、両壁などの展開要員に映るのでガブリアスが引いてくるとは思えない。そもそもドラゴンテールがあるのだから「何か変なことをしたらドラテで流せばいい」という過信を誘えるため、初手フェアリーテラスタル+とおせんぼうを決めやすそう。

 育成した個体がこちら。

 ドラテ+地面技で決め打ちするなら攻撃を受けないので努力値を振る必要はない。性格もAが上がらなければなんでもよい。特性はふゆう一択。

 技に関して、まずはTOD用のとおせんぼうは確定、いやしのはどうわるあがき対策ができないので眠ってもらってPPを節約させるためのさいみんじゅつもほぼ確定。20分経過させなければいけないので空撃ち用のPPが多い技としてきんぞくおん、最終的にHP割合の多さで勝利するためにHPを(倒さない程度に)削るためのロックブラスト

 ロックブラストの採用理由は可能な限りガブリアスに対する最小打点でHPを削り、特性さめはだによるスリップダメージを防ぐため非接触技が好ましいので。また、2~5発当たる特性から技のモーションが1発ずつなので最大の5発当たればそれだけ時間を進められるのもTOD向き。

 

実戦レポート

 同じことをするだけなので今回は1試合だけ解説します

 解説する試合のパーティと選出。

 対戦相手が初手にガブリアスを出しやすいように、対面でガブリアスに対して有利なポケモンを入れず、なおかつ特性かげふみを持つゴチルゼルを入れることでドラゴンテールの需要を上げる組み方をした。

 ドータクンの持ち物について、さいみんじゅつの命中率をサポートするこうかくレンズフォーカスレンズでいいが、何を勘違いしたのかぼうごパットを持たせているのはミス。

 初手ドータクンガブリアス

 この対面を作れたのでガブリアス側が不穏な空気を察知して引かない限り、初手フェアリーテラスタルとおせんぼうで対面ロック完了。

 ドラゴンテールはフェアリータイプで無効。これでもう、ずっと一緒だよ…

 既知のことだと思うがドラゴンテールは優先度が-6なので鈍足のドータクンでも先に動ける。

 たくさん撒き物を撒かれてしまったが、そもそもドータクンに交代する意思がないので問題はない。

 じしんは特性ふゆうで無効。

 ツーウェポンのもうひとつががんせきふうじなどの別タイプだとTODを成立させられないので、素直に降参をしよう。

 非接触且つ倒さない程度の打点でガブリアスを削る。こちらはダメージを受けないので、最終的なHP割合で勝つための条件は整った。あとは試合時間の終了を待つだけ。

 今回使用したドータクン(A実数値90)でガブリアスがHB振りと仮定すると、ロックブラスト一発当たりのダメージは3~4なので、オボンまで加味するとPPを使い切ってもガブリアスを倒すのは逆に難しい。

 今回対面したガブリアスはPPを増やしていないと仮定するとドラゴンテール(10)、じしん(10)、ステルスロック(20)、まきびし(20)で合計60になる。わるあがきで脱出されると困るので、眠らせて可能な限りPPを使わせないようにする。

 試合終盤の残りPPはこんな感じ。きんぞくおんは使いきれないくらい余った。

 念のためドータクンガブリアスでロックしたまま終盤まで来た証拠として。

 対戦ありがとうございました。時間切れまで付き合ってくれた対戦相手氏に感謝とリスペクトを。

 

反省点

 なし。完璧だった。

 

おわりに

 やっていることは陰湿極まりないが、その裏には分析と理論があることを理解していただき、ポケモンというゲームの「自分で考える楽しさ」を知ってもらえたら嬉しい。

 

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【ポケモンSVシングル】時限式ふうせんサーフゴー

 

 どうも。

 今回はサーフゴーメインの戦術について。

★本日のおしながき

ゴースト全盛の時代

 近年のポケモンは世代ごとに物議を醸すゴーストタイプのポケモンが登場している。後に種族値ナーフの憂き目にあうギルガルド(6th)、1ターン無敵のミミッキュ(7th)、速すぎるうえに型が豊富過ぎて読めないドラパルト(8th)と続き、今作では絶妙すぎる耐久と補助技無効のイカれ特性(褒め言葉)を持つサーフゴーが新たに登場した。

 一般ポケモンでありながらC種族値145と夢特性かげふみ(6世代以降はすりぬけ)で当時話題になったシャンデラが可愛らしい脳筋にしか映らないような、固有の能力を持つゴーストタイプが次々と登場する。

 ここまで露骨にゴーストタイプが優遇されると「ん?」と思ってしまうが、どうせなら自分も強いカードを使って楽しいデュエルをしたいので、今回はサーフゴーをメインに対戦してみようと思う。

 

戦術紹介

 今回はシンプルにサーフゴーの強みを生かしたいので、優れた耐性と耐久値を生かせる耐久振りの積みアタッカーとして使用する。ただ、サーフゴーはそこまで速いポケモンではないので、悠長に積んでいると上から叩かれて積んだ分が無駄になってしまうことを回避するため、ふうせんを持たせて有利な相手から積む機会を捻出したい。

 しかし、ふうせんは持っていても相手に認識されたら強いアイテムではない。例えば、ガブリアス対面で考えるとがんせきふうじふうせんを割りつつSを下げ、じしんでとどめを刺しても後続のアシストにしてもいいので、相手に見えていれば1ターン延命する程度の効果しかない。

 そこで、今回はサーフゴーに持たせたふうせんを隠してあげられる「アレ」を使って縦横無尽に立ち回っていく。

 理論は昨年投稿した「風船ゼクロム*1」と同じだが、それから約10ヶ月が経過している、新作が発売されて環境がガラリと変わっているので改めてこの戦術を記事にする。もちろんゼクロムとサーフゴーでは使用感が全く異なる、マジックルームの習得が大幅に制限されているので、改めて書く価値はあると思っている。

※*1:【ポケモン剣盾シングル】風船ゼクロム(風船ではない) - 受けルガチアンチ

 とはいえ、いきなり「理解しているよね?」という体で話を進められても困惑する読者もいると思うので一応説明すると、通常であればふうせんを持つポケモンが場に登場すると「○○は ふうせんで ういている」とアナウンスされるが、全てのアイテムを無効化するマジックルームのターン中であれば、ふうせんの効果も失われるのでアナウンスされない。さらに、マジックルームのターンが終了して効果が戻っても改めてアナウンスされることはないので(風船を持ったポケモンが場にいる場合)、ふうせんを持っているのに相手に認識されない。

 この仕様を利用して見えない風船を持つサーフゴーに対して地面技で攻撃をするタイミングでわるだくみを積み、相手の動揺を誘う盤外戦術である。

 以下、使用個体。

 サーフゴー@ふうせん

 ほぼHS振りでHは16n-1にして余剰分をCに。一致技2つ+コンセプトのわるだくみ、マジックルームのターン調整用にまもる

 このスクショではテラスタイプはゴーストになっているが、サーフゴーミラーやサザンドラを意識してノーマルに変えている。

 

実戦レポート

 解説する試合のパーティと選出。

 対戦相手は受けループというか、守備寄りなパーティ。弊ブログは「受けルガチアンチ」という名前でやっているので、これは絶対に勝たなければいけない(受けル自体は嫌いじゃないしアンチでもない)。

 初手ゴチルゼルキラフロル

 何はともあれマジックルーム、S種族値は後続のサーフゴーより対面のキラフロルの方が高いので、毒菱を撒かれることは承知でローキック

 ゴチルゼルが倒れたので死に出しサーフゴ。ちょうどマジックルームのターンが残り1のタイミングで出せた。

 キラフロルはだいちのちからを持っていることが確認できているので、ふうせんの効果を戻すためにまもるでターン調整。このターンのエンドフェイズ時にマジルの効果が切れて、(相手視点では見えていない)ふうせんサーフゴーの登場。

 次ターン、選出画面でてんねん持ちが多数見えているので、無理に積んで変なことをされるよりもここでキラフロルを倒すためにゴールドラッシュを選択して……

 映像で見ていただいた方が楽しめると思うのでクリップを作っておいた。こちらゴールドラッシュを選択、キラフロル→ドオーにスイッチ。

 受けの役割を持ったドオーは基本的にじしんワンウェポンになりがちで浮いていれば余裕があるので、ドオーがちょすいの場合は打点を上げるため、てんねんの場合でもまだ見えていない3体目のポケモンを考慮してわるだくみ

 もちろん相手にはふうせんが見えていないので、ドオーはじしんを選択。風船を持っているアナウンスがされていないのに何故かサーフゴーに無効化され、ヘイラッシャに交代。

 ヘイラッシャは恐らく、じわれ+ダイビングのツーウェポンか。なぜか地面技が効かないサーフゴーに対して有効打はダイビングだけだが、2ターン目のダメージが生じるタイミングでまもるを使用すればいいので、冷静にヘイラッシャを処理。

 先ほど倒しそびれたキラフロルを処理して残りはドオー。キラフロル対面でふうせんを残せたので、じしんワンウェポンの場合は1サイクル目同様にサーフゴーに対して打点はないはずだが……

 読み通りというより、よくいる一般的なドオーだったため打点はなし。降参が選ばれて勝ち。対戦ありがとうございました。

 この試合は見えない風船でいずれも地面打点を持っていたキラフロル、ドオー、ヘイラッシャを完封できた。が、どちらかというとヘイラッシャのダイビングを防いだターン調整用のまもるの方が刺さったので、これでは厳しい読者の皆様は納得しないだろう。そもそも「なぜラウドボーンが来なかったのか?」という疑問が自分の中で燻っているので、もう一試合サンプルを示さなければいけない。

 解説する試合のパーティと選出。

 役割対象はドオー、カイリュー(じしん)とキラフロル(だいちのちから)。全体的に特殊アタッカーが多いのでひかりのかべを搭載しているクレッフィからサーフゴー、スイーパーにスカーフセグレイブ

 初手クレッフィキラフロル

 前回投稿したコノヨザルと違い、可能な限りマジックルームのターンを消費したいのでマジックルーム→まもる→ひかりのかべで遅延したが、倒されてしまったのでマジルを2ターン残してサーフゴーを出さざるを得なかった。

 ひかりのかべがあるので、ここは一度被弾することを織り込んで行動する。相手はクレッフィ+サーフゴーに一貫するだいちのちからを連打すればいいので、まずまもるで一度防いで……

 と考えていたら、まもるがマジルのターン調整ではなく様子見に見えたのか、キラフロルはステルスロックを選択。相手の深読みに助けられたが、なんとか被弾せずにマジルターン終了。こちらは襷を考慮してシャドーボールで小突いておいた。

 ふうせんがひっそりと復活したので地面技は無効になり……

 積んでキラフロルを倒す。Sはキラフロルが最速だったので上を取られたが、だいちのちから以外の攻撃技がなかったのか設置技を選択していた。

 死に出しサザンドラ

 せっかく便利なまもるがあるので、サザンドラがテラスタルでタイプを変えるのか見てから行動する。考え得る悪か炎技を等倍で受けるためにノーマルテラスタルを使用、ここでふうせんを持っていたことがバレてしまうが……

 返しのゴールドラッシュサザンドラを処理。

 無振りサザンドラに対して素のゴールドラッシュは58.0~68.8%ダメージしか与えられないが、キラフロル対面でわるだくみを積めたので確定一発にできた(同条件で115.5~136.5%ダメージ)。

 ラスト一体はニンフィア、いつもなら安定行動しかしないのに「ここまで上手く試合を進めている」という妙なプレッシャーを感じ、炎テラス読みシャドーボールを選択して返しのマジフレで倒されてしまった。どちらにせよ+1シャドーボールニンフィアは倒せないのだから、プレイングミス。

 最後はセグレイブで詰めて勝ち。同タイプテラスタルやメジャーな炎テラスタルどちらにも対応できるようにじしんを選択したが、これだけサーフゴーで奇麗に立ち回ったのに負けもあり得るシチュエーションだった。対戦ありがとうございました。

 

反省点

 ランドロスドリュウズといった強力な一致地面アタッカーがいないので、なかなか起点にするポケモンを探すのが難しい。例えばキラフロルやカイリューはサブウェポンの選択次第で地面技を採用していないケースもあるので、明確に「これ」という起点を見つけにくいのが難点か。

 先ほども述べたように、コノヨザルの場合はビルドアップを積みたいのでマジルターンを3ターンくらい残したいが、逆にサーフゴーは消費したいのでターンの管理が難しいところも扱いにくかった。

 少々手の込んだことをしようと思えば、今作はテラスタルによって本来は地面弱点ではないポケモンも地面弱点にできるので、テラスタルを使ってあえて弱点を晒すことでマジックルーム風船につなげても面白いかもしれない。

 

おわりに

 5世代で暴れまわったドラゴンと格闘は制裁を受けたのに、ゴーストがここ何年も強化され続けているのは解せないですね……

 

 それでは今回はこのへんで。何かありましたらコメント欄かTwitterまでお願いします。

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