どうも。
新春スペシャルと銘打ったシリーズも今回含めて残り2回です。
★本日のおしながき
マジックルームとは?
マジックルームとは発動から数えて5ターンの間、全ての道具の効果を消失させる技である。有効ターン中にもう一度使用することで解除可能、初出の第5世代では優先度が-7(最も低い)に設定されていた。
対象が「全て」なので当然ながら自分の(発動した側の)ポケモンが持っている道具も使用ができなくなるが、今回のテーマであるマジックルーム構築の場合はアイテムの効果が無くなることを前提に組むので、使用側がデメリットを被ることはない。逆に、アイテムに依存した相手のポケモン(例、襷による行動保証やオボン込みn耐え調整など)を崩しやすくなるメリットだけが残るように使うのが良いと考える。
マジックルームを戦術として組み込むうえで筆者が考えるメリット・デメリットを一部、以下にまとめた。
<メリット>
・きあいのタスキが前提のポケモン(直近だとキラフロルやマスカーニャなど)を牽制できる、もしくは出てきても行動保証を与えない。
・木の実系アイテムを前提とした動き(未解禁だがアッキミミッキュやこらえる+イバンなど)を崩す、疑似的な特性きんちょうかんとして使える。
・拘り系アイテムやチョッキ持ちポケモンのステータス補正を無効化できる。
・だっしゅつボタンやレッドカードといった交代に干渉するアイテムを縛ることで円滑なサイクル戦を阻害できる。
・ふうせんを持っていることを隠せる。
・味方に持たせた拘り系アイテムの制約も無視できるので、マジル前後で拘りオン/オフの切り替えができる。マジル中は拘りが分からないので、終了後の奇襲がより効果的になる。
<デメリット>
・相手のアイテムが見えないので、マジル終了後の拘りアイテム(特にスカーフ)に気を付けなければいけない。
・同様にいのちのたまも無効化されるので、マジル前後のダメージ感覚にも気を付けなければいけない。
・戦術として組み込む場合はターンの管理が難しい。例えば「nターン後に消失するように動かなければいけないが、それまで相手の攻撃をしのげない」など、切れてほしいタイミングや残したい場面での管理をしなければ戦術が回らない。
マジックルーム構築を考える
マジックルームの効果やメリット/デメリットについて簡潔に触れたところで、次はマジックルーム構築についての話を進める。
アイテムの効果を消失させるのは非常に強力だが、相手のポケモンが何を持っているのか分からなければ使用者にとってもリスクが生じる。例えば、ゴチルゼルやプクリンといったポケモンは特性におみとおしを持つので、対面の相手が何を持っているのか確認したうえでマジックルームを使用できるが、おみとおしの発動は場に出たタイミングなので後続のポケモンが持っているアイテムまで確認するのは難しい。
よって、相手のアイテムを消失させる使い方はパーティ単位の戦術として見たときに弱いと感じた。そこで、視点を変えることでマジックルームの良さを生かせないか考えた結果、自分のアイテムを消失させることでアドバンテージを得る方法について模索した。
「自分のアイテムを消失させる」と一口にいうと何を言っているのか意味が分からないと思うが、では「なんらかの制約が生じるアイテムを一時的に消失させる」というとどうだろうか。ここでいう「なんらかの制約」というのは拘り系アイテムが持つ技の固定、とつげきチョッキが持つ補助技を使えないことを指す。
これまでサンプルとして投稿してきた記事群で使用した「こだわりスカーフ+ビルドアップ」「こだわりスカーフ+つるぎのまい」「こだわりハチマキ+りゅうのまい」といったように、拘りアイテムと積み技を組み合わせたものがマジックルーム構築のベースとなるのではないかと考えた。
このギミックの強みは「積み技を見せることで拘りアイテムを隠す」という点にある。第8世代のシステムであるダイマックスは一時的に拘り状態を解除できるため、スカーフドリュウズに剣舞、鉢巻カイリューに竜舞など拘りアタッカーとDMアタッカーを一体で使い分けることができた。技スペースに余裕があれば拘り+積み技というのはあり得る選択肢だった。
しかし、ダイマックスがない現在ではそれが不可能なので「積み技を使った=拘りは無いだろう」と錯覚させやすい。マジックルームを使用しているので可能性としては無くはないが、それをどこまで信用するかは相手次第である。
少々話が逸れてしまったが、マジックルーム前後の拘りオン/オフをコントロールすることで急にスピードが上がった、受けられると思ったダメージが受けられなかったといったギャップが生じ、崩しの面で強力な戦術になるのではないかと考えた。
イレギュラーな使い方としてはふうせんを隠すものもあるが、こちらはパーティの軸とするには少々弱い。理論としては「ふうせんを持ったポケモンは、場に出たときのメッセージも無くなる。マジックルーム発動中に攻撃を受けてもふうせんが割れることはない。ただし、場に出たときのおもさによるエフェクトはふうせんの効果で消えたままとなる*1」という仕様を活用し、ふうせんを隠すことで地面技を誘発するポケモンで地面技を透かし、その1ターンで積み技を使おうというもの。
仕様についてひとつ補足すると、ふうせんを持ったポケモンが場に出ている状態でマジックルームの効果が消えても、改めて「○○は ふうせんで ういている!」とアナウンスされないため、ふうせんを隠すことが可能。
※*1:ポケモンWiki様「マジックルーム(場の状態)」の「詳細な仕様」より引用
旧世代のものだがやっていることは同じなのでサンプルに。
【ポケモン剣盾シングル】風船ゼクロム(風船ではない) - 受けルガチアンチ
このようにパーティ単位でマジックルームを共有し、自らのアイテムを隠すことで一時的に行動の自由を得てもう一度拘りの恩恵を受ける、持っているアイテムを持っていないように見せることで相手を騙すといったことがマジックルーム構築の基本的な動きになるのではないかと考えた。
マジックルーム構築を作ろう
マジックルームは5ターンしか持続しないので、パーティ全体をマジックルームに依存したポケモンで固める必要はない。選出の基本形はマジル要員+マジルエースの二枠までは確定で残りの一枠は補完枠になるので、先発やスイーパーにアイテムが前提となるポケモンを組み込んでも支障はない。ただし、マジックルームのターン管理次第で3体目のポケモンにも干渉する可能性はあるので、その点だけ気を付けたい。
何はともあれマジル要員だが、以下の表を見てほしい。
見ての通り、今作SVでマジックルームを習得できるのはゴチルゼル系統とクレッフィの4体のみである。よって、マジル要員は耐久力に定評があるゴチルゼルか、特性いたずらごころにより先制で使用できるクレッフィの2択となる。輝石ゴチミルも選択肢に入りそうだが、マジルを使用した時点で輝石の効果が失われるので、2手目以降の行動を考えた際に素の耐久力で勝負できるゴチルゼルでよい。
マジルエースについては一時的なアイテムの消失と併せて使用したいポケモンを自由に組み込めば問題ない。今作は特性てんねん持ちの強ポケモンが一挙に3体追加され、積みアタッカーに対する強烈な牽制をしているので、積み系の戦術ばかり組み込まないように気を付けたい。
補完枠には先発からマジル、後発からマジルの両方に対応できるように初手で出しやすいポケモン(マスカーニャなどの高速アタッカーやステロガブリアスなど)、スイーパーに向いている対面性能が高いポケモン(カイリューや総大将ドドゲザンなど)を選びたい。
マジックルームに実際に触れてみてほしいので、今回は構築済みデッキを二通り準備してきた。
こちらは鉢巻竜舞ギャラドス+風船サーフゴー2軸の比較的扱いやすいものを持ってきた。基本的にはマジックルーム中に竜舞を積んだギャラドスがマジル終了後に飛行テラス→テラバーストを連射する動きを目指しつつ、地面技を誘えそうなら風船サーフゴーも出したい。努力値は右下の番号順にHB、HB、AS、HS、AS、HA。
こちらは記事も投稿したスカーフビルドアップコノヨザル軸。マジックルームのターン中に炎テラスタルを使用して地面技を誘い、マジル終了後に風船で透かす中級テクニックを楽しめるセグレイブ入り。努力値は右下の番号順にHB、HB、DS、AS、AS、HC。
「シングルなのにまもるが複数入っているのはなぜ?」と思うかもしれないが、これに関してはマジックルームのターン調整用になっている。例えば「発動から○ターン後にマジルエースを出して○ターン後に効果が終了するように調整したい」といった場合にまもるを使用してターンを消費する。基本的には風船絡みのケースで使用を想定している。
マジル構築に取り組んで
記念すべきSVのシーズン1はマジックルーム構築の考察に捧げた。決して頷けるような成績ではなかったが、ひとつ「これ」と決めたものを追求できて満足だった。
以前も書いたようにカードゲームが好きなので、ポケモンでもただ勝負に勝つのではなくカードゲームのコンボのような、エンターテインメント性のある戦術で勝ちたいと思っている。「勝ち方をデザインする」というと大仰な感じがしてしまうが「どうやって勝つか」ということを常に考えていて、今回考察に時間を費やしたマジックルームは非常に面白い要素だった。
「ギミック」や「コンボ」といった表現を用いる以上、それはパーティ全体で連動しなければいけないと思っているので、マジックルームはパーティ全体で共有できるコンセプトとして扱いやすい側面もあった。
マジルが「シングルではあまり見かけないマイナーな技」だから面白いというのではなく、ポケモンの型を決定する際やパーティを組む際に重要な要素となるアイテムを一時的に除外できるのは唯一無二であり、はたきおとすなどの失ってしまう効果とは違い「戻ってくる」という点に着目していろいろと遊べたのが楽しかった。
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