どうも。
懐古厨です(n回目)。
★本日のおしながき
はじめに
受け回しの概念は古くからあったとされていますが、受けループという戦術が確立したのは5世代だといわれています。
4→5世代は火力のインフレが著しく、一見受け戦術が逆風に思われますが、例えばしんかのきせきやゴツゴツメットといったアイテムの登場、ポイズンヒールグライオン、さいせいりょくヤドランの解禁など、受け側にも明確な強化がありました。
DLC後編の解禁で、当時ひとつの完成形として存在したラッキー、グライオン、エアームド、バンギラス、ヤドランが久しぶりに揃いました。現在も強力な戦術として支持される受けループですが、当時のテンプレは今でも通用するのか、我々は調査のためにジャングルの奥地へと赴いた。
監修(アドバイザー)紹介
受けループを最初に触ったのも最後に触ったのも5世代なので、SV環境の受けループを深く理解しているかというと、そんなことはない。理論が好きなので構築記事は読みますが、それだけでは不確かなことが多いので今回は記事を作成するにあたって実際に使用しているプレイヤーに監修をお願いしました。
監修:土偶 氏
Xアカウント→https://twitter.com/clay_doll_man
ブログ
ランクマはもちろん、使用できるポケモン等に制限がある仲間大会でも限られたメンツから受けポケモンを探し出してパーティを組むなど、説得力のあるプレイヤーに監修を引き受けていただきました。
これから先の内容を構成するにあたって様々なアドバイスを頂きましたが、本記事の企画及び執筆はすべて筆者(Mなか (@Mnaka_udn0525) / X)なので、くれぐれも土偶氏にご迷惑をおかけしないよう願います。
5世代受けループ
基本の5体から3~5体、その他入れ替え候補から数体と自由枠のような組み合わせが多かったので、前提になる当時の中央値に近いものを。
※ボックスにあるものを集めてきたので、ここではテラスタイプを考慮しないものとする。
(1)ラッキー
努力値:HD特化orBD (稀にBS)
持ち物:しんかのきせき
※電磁波ステロは毒毒、スキルスワップ等に入れ替えることもあります。
★ハピナスの場合はアイテムが各種メールになります
(2)グライオン
努力値:H、S調整残りBorD
持ち物:どくどくだま
役割対象:まもみがが成立する相手全般
※どくどくを採用する場合はつばさでうつを外す、つばさでうつは対ガッサ以外にPPの多さで採用されていました。他のポケモンの毒、永続砂嵐のバンギラスと。
(3)エアームド
努力値:HB (稀にD振りも)
持ち物:ゴツゴツメット
役割対象:鉢巻物理ドラゴンをはじめ物理全般
※Dに振る場合はガブリアス等の役割破壊特殊炎技を意識する場合が殆どです
(4)バンギラス
努力値:CS、AS、HDなど
持ち物:こだわりスカーフ
あくのジュエル
剣舞ガブ、悪巧みレボルト等、受けループを対策できるポケモンを上から叩けるスカーフ持ち、電磁波ステロ系は襷、今は無い要素ですがジュエル+おいうちのサイクル破壊型などプレイヤーの好みが出る箇所だと思います。
(5)ヤドラン
努力値:HB
持ち物:オボンのみ
役割対象:バシャーモ、テラキオン等の格闘、パルシェンやマンムー等の物理全般
※オボン+さいせいりょくがあるので回復技を持たせないケースもありました
つぎに自由枠として採用されがちなポケモンをピックアップしました。
(6)自由枠
6-1 ラティオス
崩し、眼鏡トリック等の理由で入ります。
6-2 ローブシン
カバドリのドリュウズをマッハパンチで縛れるので稀に入ります。
特性で状態異常対策ができるので対ガッサにも。
6-3 ドクロッグ
入れるならHDベースでスイクン、雨パへの対策です。
5世代雨テンプレは格闘枠が入るので、対雨ではキングドラ+格闘に強いドクロッグを入れる形がそこそこありました。
5世代受けループは現代でも成立するのか?
現在でも活躍しているポケモンはいるものの、10年も前のスタンダードでは型落ちが否めません。6世代以降に登場したポケモンを考慮していないため、受ける側の役割や新たに対策必須ポケモンが登場するなど、懐かしさだけではどうにもならない部分が大きいでしょう。
シンプルに「5世代テンプレで受けは成立するか」という質問を監修の土偶氏に投げかけたところ、当然ながら成立しないと回答をいただきました。型が豊富なサーフゴー(眼鏡、スカーフ、悪巧み)や炎オーガポンに対して安定しないためと、現環境を鑑みた理由を挙げていただきました。
ただし、高い勝率を叩き出すのは難しいが、型落ちとはいえ最低限のスペックはあるので対策していない相手には勝てる、4割ほどの勝率は出せるという補足も。
現代で戦うにはどうすればよいか(1)
例えば、今作で登場した屈指の崩し性能を持つパオジアンや、あらゆる妨害に耐性を持つサーフゴーなど、当時存在しなかった性能を持つポケモンが6世代以降に登場しました。受けループにあまり明るくない筆者でも、当時のテンプレでは対処しきれない要素が増えたと思います。
そこで、監修の土偶氏に当時のテンプレに近いものからどうすれば現代でも通用するようになるか、入れ替え候補を検討していただきました。
シャンデラ、ゲンガー、サンダーなど当時の役割対象が数を減らし、逆にサーフゴー、ハバタクカミ、テツノツツミといった一致で弱点を突いてくる特殊がメジャーなため、数値は優秀なものの役割対象が噛み合わないバンギラスがリストラ候補に挙がりました。
イーユイやラティオスなど強い相手には強いのでこれらが多い環境になれば可能性はあるものの、現状ではこの枠か自由枠でサーフゴーのトリック対策になり得るなげつけるハピナス、チョッキママンボウ、炎オーガポンとの入れ替えを提案していただきました。
長きに渡って物理受けの代表格として君臨してきたエアームドは数値もさることながら、耐性で受けを成立させている側面もあります。パオジアン等に電気テラスタルを切られた場合はエアームドもテラスを切らされますが、どうせ切るならより数値が高いクレベースの方が動かしやすいという理由を挙げていただきました。
この2体については環境とのミスマッチを感じました。かつて弱点は格闘だけと言われた砂下のバンギラスや、独自性があった鋼+飛行の優位性も、環境が変われば需要も変わるといったところでしょうか(筆者感想)。
自由枠についてもお願いしました。
●ローブシン→ピクシー
仮にカバドリが数を増やしてもローブシンに頼ることなく物理受けで足りる、こんじょう(火炎玉)でキノガッサを対策するにしろ、一緒にキョジオーンも対策できるマジックガードピクシーを挙げていただきました。
ピクシーは5世代当時はノーマル単だったため、当時格闘が強かったこともあり、今とは使い方も異なってきますね。格闘耐性がついたこと、当時は存在しなかったキョジオーンの脅威など、フェアリー+マジックガードの優位は当時なかった要素です(筆者感想)。
●ラティオス→テツノツツミ
特殊方面はある程度固く、耐性も優秀なのでサイクル参加できる点を評価されていましたが、Sラインが当時よりも上に伸びていて、素早さ面の不安を挙げられています。崩しであれば素でハバタクカミよりも早い、水テラス眼鏡のテツノツツミを推奨していただいています。
ただし、ラティオスはラティオスで、竜テラス眼鏡りゅうせいぐんでH振りチョッキ赫月ガチグマを乱数(95.4~112.7%)で倒せるため優秀であると補足をいただきました。
これもフェアリー登場前後で評価が変わる要素だと思います。受け出しからでも十分な負担を与えられた眼鏡流星群が、威力の低下や無効タイプの登場で5世代までのような「雑に撃って強い」手軽さが無くなりましたね(筆者感想)。
現代で戦うにはどうすればよいか(2)
役割対象がいなくなる、別の役割対象が増えるなどで現代で使うには心許ないポケモンの入れ替え先を示していただきましたが、現在でも活躍できるポケモンもいます。
ただし「当時のままでは」という部分について、今作の要素であるテラスタイプも含めて手直しを加える点も検討していただきました。
●ラッキー
(パーティ単位で)サーフゴーのトリック対策をどうするか。他にトリック受けを採用できるのであれば、どくどくを抜きにしても当時のままでも。他にトリック受けを用意できない場合はラッキーになげつけるを入れる必要があり、弱くなってしまう。
テラスはチョッキボディプレス赫月ガチグマに強い毒、エスパー技(サイコショック、アシストパワー、サイコノイズ)に強い悪、耐性優秀で悪巧み格闘テラバサーフゴーに抜群を取られない水など。
●ヤドラン
持ち物は他のポケモンと取り合いいならなければ、ゴツゴツメットやたべのこしの方が無難に強い。テラスは一撃ウーラオスにも強くなるフェアリー。
つばさでうつ→どくどくが無難に強い。Sはサーフゴー(84)か霊獣ランドロス(91)抜きくらいまでは振りたい。
テラスは諸説あるが炎・水オーガポンに耐性のつくドラゴンが流行り。
●エアームド(採用するなら)
攻撃技はドリルくちばし→ボディプレス。ちょうはつはステルスロックでも可。持ち物はゴツメ以外だとガッサ対策のぼうじんゴーグル、パオジアンの相手をさせられそうなため、怯み防止でおんみつマントなども候補。
テラスはボディプレスの火力が上がる格闘か炎オーガポンに強い炎か。
ラッキーやヤドランは仕事が大きく変わらないのでほぼ当時のままでもテラスにより見られる範囲が変わる(増える)のは強化、グライオンは試合時間が短くなったのでつばさでうつによるPPの確保が重要でなくなり、エアームドは5世代当時存在しなかったアイテムでより役割対象に強くなったという印象です(筆者感想)。
5世代→現代版を作っていただきました!
総じて
ここからは筆者の言葉で。
今現在の使用率を見ても5世代当時いなかったポケモンが多いので、当時のテンプレで受けが成立しないのは当然。むしろ今でもそのまま通用してしまったら、ゲームの対戦バランスとして如何なものかと思われます。攻める側がアップデートしたなら守る側もそれに合わせる、シンプルなことですね。
古い(5世代版)バージョンを自分で試して「今必要な役割」と「今必要ではない役割」がチグハグで「この構成だと○○が受からないよね」と。例えばどうしてもパオジアンに等倍以上を取られてしまうとか、攻撃を受けるだけならラッキーでいいけれど搦め手を使用するサーフゴーは誰で対処するとか、繰り返しになりますが当時いなかったポケモンの対応が難しいです。
添削後の最新版も使用してみましたが、やはりポケモンのチョイスの段階で、入れ替え候補(画像2枚目)のポケモンと交換しないと「〇〇に対する明確な対応が決まらない」「△△型ならいいけれど◇◇型なら入れ替え候補の誰々と変えたい」というニーズが生じたので、5世代の並びは「雰囲気受かりそうだけれど、実はそんなことない」と感じました。我々世代的にラキグライムドーバンギヤドランで並んでいると圧力は感じますが。
おわりに
まず、記事作成にあたって真摯に考察をしてくださった土偶氏に感謝を。
イメージとしては簡単に添削をしていただければと思っていましたが、受けに明るくない人間にも分かりやすい解説や、実際に組んで対戦をするなど丁寧な取り組みに感謝しかないです。
ブログ名とは裏腹に、冒頭でも書きましたが受け戦術の理論が好きなので毎シーズン幾つか記事を読んでいます。性能的に使えるポケモンが限られる中、毎シーズン目まぐるしく変わるトレンドに対抗すべくマイナーチェンジを繰り返す様は本当にすごいので、いろいろなイメージを捨てて触れてみてほしいと思っています。
個人的にですがこのゲームは攻めるよりも守る方が難しいと思うのに、なぜか昔から嫌悪感を抱かれたりやり玉に挙がるのが受け戦術です。Xを見ていても自慢のマイナーポケモンで受けループを破壊して「ざまぁ」みたいな投稿があり、残念なプレイヤーだなと感じます。
こういう強い戦術を打破する方法を考えるのがこのゲームの楽しみでもあるので、親の仇のように受けループを悪く言うのは(弊ブログのタイトルも大概ではあるが)なんかちょっと違うよね、と。難しいことをやっているプレイヤーへのリスペクトを忘れないでほしいと思います。
それでは今回はこのへんで。